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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

6.包括的管理・治療 JELIS 6.イコサペント酸(EPA)の投与がスタチン治療中の冠動脈疾患,脳血管疾患患者の再発予防に有効である―JELISにおけるEPAの2次予防効果

山下智也横山光宏

血栓と循環 Vol.19 No.3, 222-225, 2011

出 典
Tanaka K, et al, JELIS Investigators, Japan:
Reduction in the recurrence of stroke by eicosapentaenoic acid for hypercholesterolemic patients:subanalysis of the JELIS trial.
Stroke 39(7):2052-2058, 2008
Matsuzaki M, et al:JELIS Investigators.
Incremental effects of eicosapentaenoic acid on cardiovascular events in statin-treated patients with coronary artery disease.
Circ J 73(7):1283-1290, 2009

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 冠動脈疾患患者における魚の摂取,魚油の投与が臨床的に有益であることは,いくつかの臨床試験や介入試験で報告されており,n-3多価不飽和脂肪酸の摂取が心血管イベントを減少させることを示唆している.欧米で実施されたDiet and Reinfarction Trial(DART)(Burr ML, et al:Lancet 2:757-761, 1989)とGruppo Italiano per lo Studio della Sopravivenza nell’Infarto Miocardico-Prevenzione Trial(GISSI-Prevenzione)(Lancet 354:447-455, 1999)では,魚もしくは魚油のサプリメントの摂取の増加が,心筋梗塞患者の心血管死亡を減少させた.魚の摂取量の多い日本での魚油(EPA)の投与の有用性を検討するためにJELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)が行われた(Yokoyama M, et al:Am Heart J 146:613-620, 2003).この大規模臨床研究によりEPAがスタチン治療中の高コレステロール血症における冠動脈疾患(CAD)の予防に有効であることを証明した(Yokoyama M, et al:Lancet 369:1090-1098, 2007).
 ここで紹介する2つの論文は,JELISのサブ解析により,EPAがCADの2次予防に有効か否かについて詳細に再検討を行い,さらに日本人に比較的多い脳卒中に対しての予防効果の有無を検討したものである.

対象

 JELISでは,総コレステロール値が250mg/dL以上の患者18,645例が対象とされた.すべての患者をPROBE(前向き,ランダム化,オープンラベル,エンドポイント盲検化)法にてスタチン投与対照群(9,319例)とスタチン+EPA群(9,326例)に分けて5年間の観察を行った.そのなかで,CADの2次予防に関して,心筋梗塞や狭心症,そして冠動脈インターベンションの既往がある3,664例の患者について解析した.同じくJELIS対象例のなかで,脳卒中の既往のない患者17,703例とある患者942例について,脳卒中のイベント発生を検討した.

方法

 JELISに登録された除外基準をクリアしたすべての対象者について,スタチン治療(プラバスタチン10mgもしくはシンバスタチン5mg)を通常治療とし,EPA群では高純度EPA(イコサペント酸)を1日1,800mg経口投与して,5年間追跡した.
 CAD 2次予防症例の3,664例(EPA群1,823例,対照群1,841例)について,主要エンドポイントは,心臓突然死,心筋梗塞,非致死性イベント(不安定狭心症,血管形成術,ステント挿入術,冠動脈バイパス術)として,イベント発生率などを比較検討した.
 脳卒中発症の評価は,試験担当医からの報告をさらに地域症例検討委員会において画像を再評価した.脳卒中発症に関して,1次予防と2次予防に分けてサブ解析を実施した.

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