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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

6.包括的管理・治療 SPARCL 4.SPARCL試験における出血性脳卒中/脳梗塞,一過性脳虚血発作におけるLDLコレステロール厳格治療の効果:SPARCL試験

冨本秀和

血栓と循環 Vol.19 No.3, 217-218, 2011

出 典
Goldstein LB, et al:
Hemorrhagic stroke in the Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels study.
Neurology 70:2364-2370, 2008/
Amarenco P, et al:
Effects of intense low-density lipoprotein cholesterol reduction in patients with stroke or transient ischemic attack: the Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels (SPARCL) trial.
Stroke 38:3198-3204, 2007

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 日本人の脂質摂取量の増加に伴って,脂質異常症・糖尿病は増加傾向にある.その結果,ラクナ梗塞が減少,アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓症が増加し,相対的に脂質異常症の重要性が増している.
 スタチンが脂質異常症患者の脳卒中の1次予防に有効であることは,ASCOT-LLA,CARDS,PROSPERなどの研究から示されている.わが国においてもJ-LIT,MEGA studyなどの研究があり,さらに2次予防に関して日本人を対象にしたJ-STARSが進行中で,その結果が待たれている.
 2006年,SPARCL研究で高用量のアトルバスタチンが,脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の再発を16%減少させることが報告された(SPARCL investigators:N Engl J Med 355:549-559, 2006).この報告はIntention-to-treat(ITT)解析に基づくデータであるが,偽薬群の脱落率が実薬群より高率であったため,薬効が過少評価された可能性が指摘されている.一方,出血性脳卒中の頻度は,実薬群55例(2.3%),プラセボ33例(1.4%)であり,スタチン治療で出血性脳卒中が増加する可能性が指摘された.
 これらの問題点をさらに追求するため,GoldsteinらはSPARCL研究で出血性脳卒中を発症した症例の患者背景を検討し,登録時イベントが出血性脳卒中であること,高血圧の存在などが危険因子であったと指摘している(Goldstein LB, et al:Neurology 70:2364-2370, 2008).また,AmarencoらはLDLコレステロールの低下度によってSPARCL登録患者を3群に層別化し,50%以上低下した群では脳卒中再発抑制率が31%であったが,出血性脳卒中は増加しなかったとしている(Amarenco P, et al:Stroke 38:3198-3204, 2007).

対象

 梗塞または出血を含む脳卒中,一過性脳虚血発作の既往患者(発症後1~6ヵ月以内)で,修正Rankinスコア≦3,LDLコレステロール値が 100≦,190mg/dL≧の4,731例を対象とした.登録は1998年9月~2001年3月までである.

方法

 患者をアトルバスタチン80mg/日内服群(n=2,365)と偽薬群(n=2,366)に二重盲検法で無作為に割り付けた.SPARCL研究の主要評価項目は非致死的・致死的脳卒中発症であり,観察期間中央値は4.9年である.Goldsteinらの論文では,出血性脳卒中とアトルバスタチン投与の有無,登録時患者背景,血圧,LDLコレステロール値の関連について検討している.Amarencoらの論文では,SPARCL研究登録患者を観察期間中のLDLコレステロール値の変動によって,不変または増加,50%未満の減少,50%以上の減少の3群に分類し,層別に解析している.

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