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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

3.脳 a.頸動脈・脳動脈硬化 INTERACT 3.急性脳出血患者における強化血圧降下療法(INTERACT):ランダム化パイロット試験

田中耕太郎

血栓と循環 Vol.19 No.3, 125-127, 2011

出 典
Anderson CS, et al. INTERACT Investigators:
Intensive blood pressure reduction in acute cerebral haemorrhage trial(INTERACT):a randomised pilot trial.
Lancet Neurol 7:391-399, 2008

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 脳出血は毎年,全世界で100万人以上が罹患し,その多くが死亡したり,重篤な後遺症を残している.脳出血急性期には血圧の上昇がほぼ必発であり,不良な予後と関連している.いくつかの非ランダム化臨床試験では,脳出血後に高血圧を示す患者に対する早期の降圧療法は有用であることが示唆されてきた.一方,脳出血急性期患者における血圧管理に関する種々のガイドラインは,明確かつ客観的な臨床試験が必要であるとしている.それは,現在のガイドラインに記載されている推奨が基本的に専門家の個人的な意見によるもので,それを裏付けるランダム化臨床試験によるエビデンスは今まで全くなかったからである.すなわち,どの時期に,どの程度の降圧療法を行うべきかを示すエビデンスが従来全くなかった.
 以上の状況に対して最近,急性脳出血患者における強化血圧降下療法の効果を検証する臨床試験(INTERACT)が行われた.本論文では,INTERACTで検討した急性脳出血患者で早期の強力な降圧療法が可能か否かという点と,本療法の脳内血腫の増大に対する効果および安全性について報告する.

対象

 本試験は研究者主導の,多施設,治療内容はオープン,結果評価は盲検下で施行したランダム化試験であり,オーストラリア,中国,韓国の44病院において,18歳以上,CTで確認された特発性脳出血を有し,2分間以上離れた時点で2回以上測定された収縮期血圧が150~220mmHgであり,発症から6時間以内にランダム化された治療を開始可能な患者が登録された.高血圧性脳症や収縮期血圧220mmHg以上で降圧療法の適応が明らかな患者や,高度の脳動脈狭窄や腎不全など降圧療法が禁忌の患者,2次性の脳出血患者(脳血管奇形や抗血栓薬投与中など),Glasgow coma scale(GCS)が3~5点で深昏睡にある患者や外減圧手術の予定がある患者は登録から除外された.

方法

 本試験の立案やデータ解析はThe George Institute for International Healthの研究員によって行われた.患者は早期の強化血圧降下療法群と1999年の米国心臓協会のガイドラインに準拠した血圧管理群(ガイドライン準拠治療群)の2群にランダム化された.早期の強化血圧降下療法群では,ランダム化後,1時間以内の収縮期血圧の目標値を140mmHgとして,その後の7日間,ないしその前に退院する場合は退院まで,このレベルを保つように目標が設定された.この目標を達成するために,最初に経静脈的に降圧薬が投与され,使用薬剤の選択は,その後の経口降圧薬も含め,事前に各国の事情に任せてそのプロトコールが作成された.収縮期血圧が130mmHgに達したら,降圧療法は中止した.ガイドライン準拠治療群では,収縮期血圧は180mmHgを目標に治療が行われた.それ以外の治療は,両群で最良の標準的治療が施行された.退院後は,利尿薬とACE阻害薬の併用で収縮期血圧140mmHgを目標とする治療が推奨された.
 CT検査は,登録時,24時間後,72時間後に施行された.バイタルサインは主治医により定期的にチェックされ,血圧は非麻痺側の上腕で臥位にて自動血圧計で定期的に測定された.GCS,NIH stroke scale,modified Rankin scale,Barthel index,Minimental State ExaminationとEuroQolの評価が登録時,24時間後,72時間後,7日後,28日後と90日後に施行された.
 1次評価項目は,24時間後の血腫の相対的変化度である.2次評価項目は,血腫ないし血腫と脳室内出血の絶対的ないし重度な増大である.血腫の重度な増大とは登録時に比較して24時間後の33%以上の増大,ないし12.5mL以上の増大と定義した.

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