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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

3.脳 a.頸動脈・脳動脈硬化 MERCI 1.MERCIリトリーバーを用いた中大脳動脈急性閉塞に対する臨床成績,MERCIおよびMulti MERCI TrialにおけるM1/M2の比較

坂井信幸坂井千秋

血栓と循環 Vol.19 No.3, 121-122, 2011

出 典
Shi ZS, et al. MERCI and Multi-MERCI Investigators:
Clinical outcomes in middle cerebral artery trunk occlusions versus secondary division occlusions after mechanical thrombectomy:pooled analysis of the Mechanical Embolus Removal in Cerebral Ischemia (MERCI) and Multi MERCI trials.
Stroke 41(5):953-960, 2010

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 t-PA静注療法の有効性が確立し,MCAは最も頻度の高い閉塞部位である.あまり多くないが,M1とM2の比較ではM2閉塞の方が効果が高いという報告がある.局所線溶療法の有効性を証明したPROACTⅡではM1閉塞が61.7%であったが,M1とM2の転帰の差はわずかで,他の報告ではむしろM1閉塞の転帰がよいというものもある.MERCIリトリーバーはtPA静注療法の非適応または無効例に対する機械的再開通療法として注目されており,内頸動脈閉塞では高い再開通率を得るという報告があるが,M1とM2閉塞の再開通率や転帰を比較した報告はない.

対象と方法

 MERCIおよびMulti MERCI trial合計305例から,ICA閉塞,ICA-T閉塞を除くM1閉塞またはM2閉塞を対象とし,TIMIⅡまたはⅢを再開通,NIHSS4以上悪化したECASS分類のTypeⅠおよびⅡを症候性出血,30日および90日後のmRS 2以下を臨床転帰良好とし,背景因子を含めて統計学的に解析した.

結果

 解析の対象となったのは178例(MERCI 80,Multi MERCI 97).年齢は平均69.0,SD15.7歳,女性103(57.9%),baseline NIHSSは9-40,平均18.8,SD5.8であった.21例(15.2%)がt-PA静注療法を受けており,発症から動脈穿刺までの時間は0.7-10.8,平均4.3,SD1.6時間であった.150例(84.3%)はM1閉塞またはM1/M2閉塞,残りがM2単独閉塞.年齢,性別,NIHSS,発症から穿刺までの時間,t-PA静注療法はM1/M2閉塞に差はなかった.M1に冠動脈疾患が多く,PTと収縮期血圧が低かった.M1に使われたのはX6 44.7%,L5 44.7%,X5 34.0%,M2にはL5 53.6%,X6 28.6%,X5 25.0%が使われた.NIHSSの運動機能に差はなかったが,失語はM2に多かった.M1/M2のMERCIリトリーバー単独の再開通率は46.0%/71.4%,補助療法を加えた最終の再開通は60.0%/82.1%,PASS回数はそれぞれ3.1/2.1,手技時間は1.8/1.6時間であった.転帰良好の割合は両群で有意差はなかったが(33.3%/40.7%),左側病変は47.3%/67.9%とM2に多かった.90日後の死亡率は32.9%/25.9%とM2に少なかった.頭蓋内出血は36.7%/42.9%と差はなく,症候性出血6.7%/3.6%,手技に関連するイベント5.3%/3.6%,と有意ではないがM2に少なかった.再開通,baseline NIHSS,年齢が転帰良好に関与するが,最大の因子は再開通であることはMERCI,Multi MERCI trialと変わりない.再開通成功例の90日後転帰は良好で,死亡率,症候性頭蓋内出血,PASS回数,手技時間は少なかった.

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