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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

2.心臓 d.インターベンション 5つのTAXUS trialのメタ解析(pooled analysis) 7.糖尿病患者に対するパクリタキセル溶出性ステント

荻田学代田浩之

血栓と循環 Vol.19 No.3, 110-112, 2011

出 典
Kirtane AJ, et al:
Paclitaxel-eluting coronary stents in patients with diabetes mellitus:pooled analysis from 5 randomized trials.
J Am Coll Cardiol 51(7):708-715, 2008

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 糖尿病は世界的にも年々増え続け,その大血管症の進展予防が生命予後改善に不可欠であり,今後も冠動脈疾患に対する血行再建を必要とする糖尿病症例は増加の一途をたどると考えられる.糖尿病患者の冠動脈病変は左主幹部(LMT)病変や多枝病変,びまん性・小血管・石灰化などの複雑病変が多く,冠インターベンション(PCI)の観点からは最もハイリスクな病変で,非糖尿病患者に比しステント再狭窄率が有意に高く,標的血管に対する再血行再建をより多く必要とする.また死亡や心筋梗塞などのハードエンドポイントの長期予後の観点からも非糖尿病に比し予後不良の集団といわれている.
 薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)は,臨床的に大きな問題であった従来のベアメタルステント(bare-metal stent:BMS)のステント再狭窄を強力に抑制し広く臨床的に使用されるようになったが,近年はDES留置後の遅発性ステント血栓症が新たな問題として挙げられ,ハイリスクな糖尿病患者に対するDESの有効性と安全性についてはいまだ議論の余地の残るところである.
 糖尿病患者に対するシロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent:SES)とBMSの二重盲検無作為化試験を用いたメタ解析ではSESの優位性が示されているが,パクリタキセル溶出性ステント(PES)を糖尿病患者に対する有効性を検討した報告は少ない.この研究ではPESとBMSを比較した5つの前向き二重盲検無作為化試験を用いて糖尿病と非糖尿病患者における長期予後を検討した.

対象

 PESとBMSを比較した5つの前向き二重盲検無作為化試験(TAXUS-Ⅰ,TAXUS-Ⅱ,TAXUS-Ⅳ,TAXUS-Ⅴ,TAXUS-Ⅵ)から,各研究の患者レベルの個別データを収集した3,513例.

方法

 上記5つの前向き二重盲検無作為化試験からそれぞれの研究の患者レベルの個別データを収集し,非糖尿病症例(n=2,686)と糖尿病症例(n=827)においてPESとBMSの比較を行い,糖尿病症例827例においてはさらに1型糖尿病と2型糖尿病のサブグループ解析を行った.
 それぞれの試験では非複雑新規病変へのステント植え込みを前向きに1:1で振り分け,ステント植え込み後5年間二重盲検化のもとにフォローアップが計画され,最終的には72%の症例では追跡血管造影が行われた.この試験の主要エンドポイントは,ステントの有効性の臨床的評価として標的病変再血行再建術(TLR)と標的血管再血行再建術(TVR),またステントの安全性評価として,フォローアップ期間中の死亡・心筋梗塞・ステント血栓症と定義した.

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