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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

2.心臓 b.血栓溶解療法 CURRENT-OASIS 7 1.CURRENT-OASIS7試験での冠動脈インターベンションが施行された急性冠症候群症例への2倍量と通常量クロピドグレルと高用量と低用量アスピリン投与の比較検討

大場崇芳清野精彦

血栓と循環 Vol.19 No.3, 67-69, 2011

出 典
Mehta SR, et al. CURRENT-OASIS 7 trial investigators:
Double-dose versus standard-dose clopidogrel and high-dose versus low-dose aspirin in individuals undergoing percutaneous coronary intervention for acute coronary syndromes(CURRENT-OASIS 7):a randomised factorial trial.
Lancet 376(9748):1233-1243, 2010

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 冠動脈インターベンションは急性冠症候群でのST上昇・非ST上昇例いずれにも重大な心血管イベント発症率を減少しうる有益な治療法である反面,血栓性合併症の危険性を有していることは決して忘れてはいけない事実である.クロピドグレルやアスピリンは冠動脈インターベンションにおいて最も頻用されている抗血小板薬である.過去の報告における理想的なクロピドグレル使用は300~600mgでの通常量の倍量にて導入し,維持量を75~150mg/日とすることでより早期に薬剤効果が発揮され,より強力な抗血小板作用が認められている.アスピリンの使用量に関しては各地域でさまざまで,北米では通常300mg使用するのに対し欧州では100mg以下であり統一された見解が乏しいのが現状である.このため,本研究の目的は冠動脈インターベンション施行後の主要心血管イベントとステント血栓症予防に対するクロピドグレルとアスピリン用量の組み合わせの効果と安全性をCURRENT-OASIS7試験のサブグループ解析を行うことで評価することである.

対象と方法

 CURRENT-OASIS7は2006年6月~2009年7月にかけて,39ヵ国597施設で行われた大規模臨床試験である.急性冠症候群を発症し早期冠動脈インターベンションが予定された25,086症例を無作為に2倍量と通常量クロピドグレル群に割り付け,さらに高用量と低用量アスピリン群に振り分けた.2倍量クロピドグレル群は初日600mg/日,第2~第7病日150mg/日,第8病日以降75mg/日とし,通常量クロピドグレル群は初日300mg/日,第2病日以降75mg/日とした.アスピリン使用は後述する2群に振り分けたが両群ともに投与初日には300mg/日で導入をした後,高用量アスピリン群は300~325mg/日,低用量アスピリン群は75~100mg/日の投与量とした.抗凝固薬やⅡb/Ⅲa拮抗薬や使用するステント種類などその他の治療の選択は主治医に一存した.また,クロピドグレル用量比較は二重盲検試験,アスピリンでは非盲検試験とし結果を解析した.最終的には冠動脈インターベンションが施行されなかった7,823例を除外した17,263例での指定解析がなされ主要評価項目は,投与30日間での心血管死・心筋梗塞・脳血管障害発症とした.

結果

 完全に30日間追跡できた症例はクロピドグレル2倍量群に振り分けられた8,560例中8,558例,クロピドグレル通常量群8,703例中8,702例,高用量アスピリン群8,624例中8,622例,低用量アスピリン群8,639例中8,638例と極めて低い脱落率であった.主要評価項目の発生はクロピドグレル通常量群では392事象(4.5%)であったのに対し,クロピドグレル2倍量群では330事象(3.9%),補正ハザード比0.86,95%信頼区間0.74-0.99,p=0.039であった.同様にステント血栓症が確実であった症例は111例(1.3%)対58例(0.7%)とクロピドグレル2倍量群で46%少なく(p=0.0001),ステント血栓症が確実あるいは疑わしかった症例も同群で31%少なかった(p=0.001).併用したアスピリンに関しては高用量群と低用量群での主要評価項目出現に差はなかった(356例対366例,p=0.76).合併症に関しては,クロピドグレル両群で大出血が139例出現し(1.6%)対99例(1.1%),p=0.009),2倍量で有意に高率であった.一方,アスピリン用量が異なる2群間では大出血に有意差は認められなかった(128例対110例,p=0.20).

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