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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

2.心臓 a.虚血性心疾患 JPAD 1.2型糖尿病患者における低用量アスピリンの動脈硬化性疾患1次予防効果

副島弘文小川久雄

血栓と循環 Vol.19 No.3, 54-56, 2011

出 典
Ogawa H, et, al. Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis With Aspirin for Diabetes(JPAD)Trial Investigators.
Low-dose aspirin for primary prevention of atherosclerotic events in patients with type 2 diabetes: a randomized controlled trial.
JAMA 300(18):2134-2141, 2008

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 糖尿病は動脈硬化を促進し,心血管イベントの発症を増加させる.糖尿病患者の主な死亡要因は虚血性心疾患,脳血管疾患,末梢血管疾患を含む心血管疾患である.不安定狭心症や急性心筋梗塞などの急性冠症候群の発症において冠動脈内血栓形成が重要な役割を果たしていることはよく知られている.近年の研究結果から虚血性心疾患や虚血性脳動脈疾患の抗血栓療法としてのアスピリンの有用性は確立しつつある.米国糖尿病学会が1次予防としてアスピリンの投与を推奨しているのは,40歳以上の糖尿病患者で冠動脈疾患の家族歴を有する患者や,高血圧,喫煙,脂質異常症またはアルブミン尿のような他の危険因子を有する糖尿病患者である(Colwell JA, et al:Diabetes Care 26:S87-S88, 2003).その状況でThe Japanese primary Prevention of atherosclerosis with Aspirin for Diabetes (JPAD)試験は2型糖尿病患者を対象にしてアテローム性動脈硬化イベントの1次予防法としての低用量アスピリン療法の有効性を検討することを目的として施行された.

対象

 JPAD試験の対象は2型糖尿病で30~85歳までの患者とし,除外基準は心電図上の虚血性のST部分の低下およびST部分の上昇または異常Q波が認められる,冠動脈造影によって確認される冠動脈心疾患の既往,脳梗塞,脳出血,くも膜下出血,そして一過性虚血性発作の既往,治療を必要とする動脈硬化性疾患の既往,心房細動,妊娠に加え,抗血小板薬または抗凝固薬の投与中,重度の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往,重度肝機能不全,重度腎機能不全,そしてアスピリンによる過敏症とした.最終的には2型糖尿病患者2,539例を対象とし,そのうち1,262例の患者がアスピリン投与群に,1,277例の患者がアスピリン非投与群に無作為に割り付けられた.

方法

 JPAD試験での患者の登録は2002年12月~2005年5月までの期間に日本各地の163ヵ所の医療機関で実施され,書面による同意を各患者から得た.登録患者は乱数表を利用して無作為にアスピリン投与群またはアスピリン非投与群に割り付けられ,アスピリン投与群の患者は81mgまたは100mgのアスピリンを1日1回服用した.主要評価項目であるアテローム性動脈硬化イベントは動脈硬化性疾患による突然死,心血管または大動脈が原因となる死亡,非致死性急性心筋梗塞,不安定狭心症,労作性狭心症,非致死性の虚血性および出血性の脳卒中,一過性の虚血性発作,そして非致死性の大動脈および末梢血管の疾患(閉塞性動脈硬化症,大動脈解離,腸間膜動脈血栓症)から成っている.また,主な副次的評価項目は各主要評価項目,主要評価項目と何らかの死因による死亡の組み合わせとした.有効性の比較はintention-to-treatの原則に従って初回イベントまでの時間に基づいて実施された.

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