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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

1.動脈硬化とイベント発症 REACH 5.アテローム血栓症の危険因子を持つ,もしくはアテローム血栓症を有する外来患者における4年間の心血管イベント発生率の比較決定因子

重松邦広

血栓と循環 Vol.19 No.3, 22-24, 2011

出 典
Bhatt DL, et al. REACH Registry Investigators:
Comparative determinants of 4-year cardiovascular event rates in stable outpatients at risk of or with atherothrombosis.
JAMA 304(12):1350-1357, 2010

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 アテローム血栓症症例において,臓器ごとのアテローム血栓症の特徴によって将来の虚血性イベント発症率が異なる.将来発症する可能性の高い虚血性イベントに至る可能性のある主たる危険因子についての知識は臨床の現場では非常に有用である.近年,急性冠症候群・動脈硬化症・糖尿病に対する新薬の臨床研究において,従来に比べて各種虚血性イベントの発生が低下していることが報告されている.このため心血管イベントのリスクの高い患者を同定することができれば,最も利益を得ると考えられる患者群をターゲットとして,新しい治療法開発を行うことが可能になると考えられる.さらに臨床医にとって,アテローム血栓症患者のなかで虚血性イベント発症の主たる危険因子を速やかに同定できれば,予防医学治療にも役立つ.REACH Registryにはアテローム血栓症の危険因子を有する無症状患者から心血管虚血性イベントの既往歴を有する症例まで含まれており,将来の虚血性イベントの発生リスクを臨床的研究するには適している.本論文ではREACH Registry登録から4年経過した結果が報告される.

対象

 REACH Registryには45歳以上で,冠動脈疾患・脳血管疾患もしくは末梢血管疾患やアテローム血栓症にとっての危険因子を3種類以上有する外来患者が登録され,今回はこのうち4年間の経過を追われた症例が対象とされた.当初の69,055例の登録症例のうち,2003~2004年に登録され2008年まで4年間観察された31,195例が本研究の対象となった.アテローム血栓症の危険因子として糖尿病,糖尿病性腎症,足関節上腕血圧比0.9未満,70%以上の狭窄率を有する無症候性頸動脈狭窄,頸動脈内膜が近傍の2倍以上の肥厚を認める頸動脈病変,治療抵抗性高血圧(収縮期血圧150mmHg以上),内服治療を要する脂質異常症,1日15本以上の喫煙者,65歳以上の男性,70歳以上の女性が挙げられ,このうち3種類以上の危険因子を有する症例が登録された.

方法

 本研究においては,心血管死亡・心筋梗塞発症・脳梗塞発症・心血管イベント発症による入院をエンドポイントとして心血管イベント発生率が計算された.心血管死には致死的脳梗塞,致死的心筋梗塞,その他肺塞栓や突然死,血管手術・治療後の死亡,心不全死などが含まれた.危険因子を有として登録されたグループ(危険因子群)と動脈硬化を認めるが登録時臨床的に落ちついている動脈硬化グループ(心筋梗塞,脳梗塞の既往歴はあるものの血行再建後で現状では落ちついている:動脈硬化群)と虚血性イベント(心筋梗塞,脳梗塞)既往グループ(虚血性イベント群)に分けて,上記のエンドポイントで観察開始後4年間の比較検討がなされた.また各群において患者群は糖尿病の有無,多発血管疾患症例か否かに分類されてのsubgroup解析もなされた.

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