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血栓症に関するQ&A PART6

6.末梢血管・深部静脈血栓症・肺塞栓症 Q51 肺血栓塞栓症の外科的治療の適応と効果について教えてください

荻野均

血栓と循環 Vol.19 No.1, 171-174, 2011

Answer
はじめに

 急性肺動脈血栓塞栓症(acute pulmonary thorombo-embolism:APTE)に対する最近の治療の中心は,抗凝固療法や血栓溶解療法による薬物治療もしくはカテーテル治療といえる.しかしながら,重篤なショックや心停止を伴うmassive~collapse型のAPTEに対しては積極的な外科治療,すなわち肺動脈内血栓摘除術(Pulmonary thrombectomy)が遅滞なく施行されることが必要となる1)-3).APTEに対する肺動脈内血栓摘除術の適応,手技,効果について記述する.

APTE重症度分類 4)5)

(1)Cardiac Arrest/Collapse型:心停止あるいは循環虚脱を呈するもの.
(2)Massive型(広範型):ショックあるいは低血圧を呈するもの.
(3)Submassive型(亜広範型):血行動態は安定しているが,心エコーで右心負荷を伴うもの.
(4)Non-massive(非広範型):血行動態は安定しかつ右心負荷のない軽症例.

肺動脈血栓摘除術の適応(図1) 1)-3)

(1)Collapse型,およびmassive型の重症例
(2)血栓溶解療法禁忌または危険例(外科手術後,多部位の出血性病変)
(3)血栓溶解療法やカテーテル治療で改善しない重症例
(4)右房,右室内に大きな浮遊血栓を認める症例
(5)両側高度肺動脈閉塞所見を認める重症例
 (1)に関して,下記に記述したように,重度のショックや心停止に至った症例に,一般病棟や緊急外来で経皮的心肺補助(PCPS)を安全に確立し,血行動態を安定化することは極めて困難である.下大静脈(IVC)損傷や血栓による脱血管閉塞など危険や困難を伴う.したがって,外科医の立場からいえば,手術室へ搬送し,PCPS(可能ならば経食道エコー(TEE)誘導下)もしくは開胸下に体外循環(CPB)を確立した方が安全,確実で,より効果的である.このような症例は(5)のことがほとんどである.(2)(3)は異論のないところであろう.(4)は程度によるが,正確な評価と内科との議論の下に決定される.

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