Answer はじめに  ヒトのゲノムはわずか1.5%の領域のみが蛋白に翻訳され,残りの大部分はJUNK配列(つまり,ガラクタである)と考えられていた.2010年の暮れに『Science』誌がInsights of the decadeという特集の中で,実際には約80%のゲノムがRNAとして転写され,このRNAがさまざまな細胞機能を調節することを述べている1).実はこれらRNAは細胞内だけでなく,細胞外に放出され血管内に流れ出た際にも血液凝固の調節因子の一員として機能している可能性がある.最初の報告は2005年のNakazawaらによるもので,RNAが第Ⅶ因子活性酵素(Factor Ⅶ-activating protease:FASP)と直接結合し活性化するというものであった2).その後,Preissnerらによって,“RNAと第ⅩⅡ因子と第ⅩⅠ因子の関連”に関する論文が報告された3).