Answer
はじめに
虚血性心疾患の治療として冠動脈ステントを用いた経皮的冠動脈形成術(PCI)が標準的治療として広く行われている.この冠動脈ステントの導入によりバルーン拡張術のみ行われていた時代に問題であった急性冠閉塞の発生は激減したが,PCIにおけるもう1つの問題である再狭窄(内膜増殖)は従来のステント(bare metal stent:BMS)では十分に解決されず,再狭窄は常にPCIのアキレス腱とされてきた.この再狭窄を解決すべく登場したのが薬剤溶出性ステント(drug eluting stent:DES)である.さまざまな大規模臨床試験においてDESは再狭窄に対する良好な成績を示したことから急速に普及し,米国では2002年に発売開始されたが,2005年にはステント使用に占める割合は実に80%に達した1).一方,ステント留置後の遠隔期にステント留置部で血栓性閉塞を生じる遅発性ステント血栓症や超遅発性ステント血栓症というBMS時代にはあまりみられなかったDES特有の現象が報告されステント留置後の抗血栓療法はより重要視されることとなった.一方,抗血小板療法に伴う消化管潰瘍等の出血性合併症の問題や虚血性心疾患と好発年齢を同時期にする悪性腫瘍や整形的疾患に対する外科的手術を行う際の中止等の問題が存在することから,抗血小板療法の至適継続期間に関しては議論されるところである.
全文記事
血栓症に関するQ&A PART6
4.心臓 Q35 ステント留置後の抗血小板療法をいつまで続けるべきでしょうか
掲載誌
血栓と循環
Vol.19 No.1 122-125,
2011
著者名
多田朋弥
/
木村剛
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
血液
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
血液内科
/
放射線科
媒体
血栓と循環
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。