Answer ステント血栓症の発症メカニズム  薬剤溶出ステント(drug-eluting stent:DES)が普及するようになり,発症時期の遅いステント血栓症が注目されている.ステント血栓症の時期別の発症リスクの違いを説明するためには,ステント血栓症の発症メカニズムを理解する必要がある.  冠動脈ステント植え込み術において,突然死や急性冠症候群といった致命的な合併症を生ずるのがステント血栓症である.冠動脈ステントは生体にとって異物であり,血流のうっ滞や出血・脱水など血小板凝集能が亢進する状態が存在すると,血栓がステント部に形成しやすくなる.ステント植え込み後に生じてきた反応性増殖である,新生内膜や血栓予防と血管としての機能を果たすために重要な血管内皮細胞が,ステントを覆って血管壁に取り込んだ形になることによって,ステント血栓症は発生しにくくなるといわれている.この血管の修復に要する期間がステントや患者背景によって異なることが指摘されている.特にDESは長期間を要するため問題となっているわけである.