血栓症に関するQ&A PART6
3.脳 Q29 脳血管障害診療での「医療連携」についてポイントはどのようなことでしょうか
血栓と循環 Vol.19 No.1, 102-105, 2011
Answer
脳血管障害の診療に欠かせない医療機関の連携
脳卒中の年間発症者数は現在30万人前後と推測され,要介護の原因の第一位である.高血圧,糖尿病や脂質異常症,肥満などの危険因子を抱えた,特に高齢脳梗塞患者が顕著に増加している.脳卒中は急性の発作を意味し,脳血管障害は,すべてのステージを含む,より包括的な概念として捉えられる1)(図1).
脳血管障害ハイリスク患者を診療しているかかりつけ医は脳卒中予防を主に薬物療法や生活指導を行っている.脳卒中急性期の専門病院では,24時間稼働する高度な画像検査,脳卒中集中治療室などで専門医師,看護師,さまざまな専門職スタッフがチームで治療を行う.薬物治療,一部に手術が行われ,急性期リハビリテーションとともに合併症を予防し,再発予防のための治療がなされる2).通常2~4週程度の治療期間で,約半数の患者が直接自宅へ退院する.しかし一定の治療を受けても介助を要する障害が残っている場合には,「回復期」のリハビリテーションが必要となる.患者は回復期リハビリテーションに医療資源を集中させた病院に転院して,重症度や改善度に応じて充実したリハビリテーションを数ヵ月間続ける.福祉サービスの手続きをとり,自宅の改造や施設入所の必要性も検討する.その後,かかりつけ医による治療を受ける「地域生活期」を迎える.このように脳血管障害の診療連携には,ハイリスク期から急性期-回復期-地域生活期とそれぞれのステージの役割を分担して患者の医療を切れ目なく連携していく必要がある3).
医療連携のパターンには双方向共有型と循環型とがあり,脳血管障害の実地医療ではこの両者が複雑に関係している1)(図2,3).
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。