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第36回「制御されたネクローシス型細胞死」
THE LUNG perspectives Vol.27 No.4, 66-71, 2019
細胞死には大きく分けて2つのタイプがある.1つは「細胞の自死」とも呼ばれるアポトーシス,もう1つは「細胞壊死」と呼ばれるネクローシスである.これまでアポトーシスは制御された細胞死,ネクローシスはアクシデンタル(偶発的)な細胞死と考えられてきた.しかし,近年の研究により遺伝子によって制御されたネクローシス型細胞死の存在が広く知られるようになり,その考えが変わり始めている.また,さまざまな疾患の病態において制御されたネクローシス型細胞死の関与が報告されており,これらの細胞死の制御を通した新たな治療戦略も考えられ始めている.そこで本稿では,細胞死研究の変遷を紹介し,代表的な制御されたネクローシス型細胞死についてその特徴を解説することで,最近の細胞死が関連する論文を読みこなす一助になることを期待している.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。