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特集 肺移植─呼吸器医が知っておきたい我が国の現状─

肺移植の適応疾患と現状(海外との比較も含めて)

平間崇秋場美紀大石久岡田克典

THE LUNG perspectives Vol.27 No.4, 15-19, 2019

日本の肺移植の特徴として,脳死が標準移植であるものの生体肺移植というオプションがあること,術式として片肺移植の割合が多いこと,肺移植登録に片肺移植と両肺移植のいずれにも年齢制限を設けていること,待機期間が平均900日と著しく長いことなど,海外の移植を取り巻く環境とは大きく異なる.日本と海外の肺移植は,どちらが良いというわけではなく,日本はこれらの条件下でより良い移植医療をこれからも提供してゆくのだと思われる.また,肺移植適応疾患として,脳死片肺移植は特発性間質性肺炎やリンパ脈管筋腫症に多く,脳死両肺移植は肺高血圧症と気管支拡張症に多く施されている.生体肺移植は閉塞性細気管支炎や特発性間質性肺炎,肺高血圧症に実施されることが多い.特発性間質性肺炎は,本邦において肺移植の最たる適応疾患であり,今後もその登録者数は増えると予想される.
「KEY WORDS」生体肺移植,片肺移植,年齢制限,待機期間,悪性腫瘍,高度な胸郭変形,胸膜に広範な癒着,肺外に活動性の感染巣,脳死片肺移植,脳死両肺移植

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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