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MEDICAL TOPICS

第70回「肺癌におけるエクソソームの役割」

門田宰落谷孝広

THE LUNG perspectives Vol.27 No.2, 66-69, 2019

エクソソームは,ほぼ全ての細胞から分泌される膜小胞であり,マイクロベシクルやアポトーシス小体とともに細胞外小胞の一種と定義される.1980年代にJohnstoneとStahlのグループが網状赤血球より分泌されるエクソソームを発見し1)2),2007年にValadiらによってエクソソーム中メッセンジャーRNA(mRNA)が受容側の細胞で翻訳される可能性が示されてから3),新規の細胞間情報伝達物質として様々な疾患での役割が報告されている.特にがん領域では,癌微小環境や,転移,治療抵抗性への関与など様々な報告がすでにされている.さらに,近年は疾患バイオマーカー,ドラッグデリバリーシステムへの応用,エクソソームを標的とした治療法や,エクソソームを用いた治療法といった臨床応用が注目されている.そこで本稿では,はじめにエクソソームの肺癌の進展における関与を概説し,次に臨床応用の可能性のある1例としてエクソソームを利用した肺癌診断について説明する.
「KEY WORDS」癌微小環境,転移,バイオマーカー,細胞外小胞,マイクロRNA

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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