第一線で働く医師たちからのオピニオン
その人らしく,輝ける瞬間に立ち会って
THE LUNG perspectives Vol.27 No.1, 80-83, 2019
出身地である大分県大分市のこの地で2009年に開業し,早いもので10年目を迎えました.患者さんとそのご家族に寄り添いたい――.その一心で在宅緩和ケアに取り組んできましたが,これまでに経験した多くの出会いが今の私を導いてくれたと感じています.
エンジニアに憧れて,理工学部を目指しながら広島の予備校に通っていた時に,一緒に大分から来た友人が無医村の出身だったのです.医師が地元に居ない環境がいかに不安であったか,という話を彼から聞くうちに,医学部へと希望学部を変更し,医師を目指すことを決意したのです.周りには医療関係者が居ない環境のなかで育ったので,医師というものに対して具体的なイメージが湧かない状態だったのですが,純粋に「人助けがしたい」という気持ちが私の中に芽生えました.長崎大学医学部へと進み,卒業後,第一外科に入局.当時は,外科が花道の時代で,実際に外科医を志望する人が周りにも多かったですね.患者さんの命に直結に携わる外科医になりたいと考え,肺癌が増加しつつあったという背景もありましたが,外科のなかでもより高度な技術を要する呼吸器外科を選択しました.その後,佐賀県の国立嬉野病院(現 国立病院機構嬉野医療センター),大分県立病院で研鑽を積み,1,000例以上の肺癌手術に執刀し,患者さんの命を救っているという手応えを感じていました.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。