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特集 喫煙のサイエンスⅢ

妊娠中の喫煙が子どもの健康に与える影響

鈴木孝太

THE LUNG perspectives Vol.27 No.1, 48-52, 2019

近年,胎児期および出生後早期の環境,特に栄養状態がその後の健康状態や疾病に影響するというDOHaD説が広く知られるようになり,胎児期や小児期の発育・発達が注目を集めている.特に,妊娠中の喫煙は,これらの発育・発達に影響を及ぼすことが示唆されており,国際的にも重要な公衆衛生学的問題の1つである.我が国における若い女性の喫煙率は,2000年前後をピークに低下に転じており,妊婦の喫煙率についても同様の傾向が示唆されている.一方で,我が国における妊娠中の喫煙が,母親本人や胎児,また出生児の健康に与える影響についての検討は,出生体重や一部の妊娠合併症,さらに出生児の発育やアレルギー疾患などについて行われてはいるものの,まだまだ十分とはいえない.今後,厚生労働省が実施している21世紀出生児縦断調査や,環境省が実施しているエコチル調査など,全国データによる幅広いアウトカムの検討を進めていくことが重要であろう.
「KEY WORDS」低出生体重児,早産,小児肥満,う歯,DOHaD説

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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