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MEDICAL TOPICS

第68回 肺炎原因菌であるレジオネラの細胞内感染経路

新崎恒平

THE LUNG perspectives Vol.26 No.4, 77-82, 2018

1976年,米国フィラデルフィア州で開催されていた在郷軍人会への参加者およびその近隣住民221人が肺炎様の症状を示し,当時一般的であった抗生物質による治療が施された.しかしながら,有効な効果が得られず,結果的に34人が亡くなるという事態となった.その後,患者の肺より新種の桿菌が単離され,在郷軍人(Legionnaire)にちなみLegionella pneumophila(レジオネラニューモフィラ)と名付けられた.
レジオネラは自然界において土壌や河川などに広く存在している細菌であり,自然界ではアメーバといった原生生物を宿主としている1).それゆえ,ヒトへのレジオネラ感染はレジオネラを保有したアメーバが持ち込まれやすい環境で引き起こされる.水温が一定に維持される環境において,アメーバなどの原生生物はバイオフィルム(排水溝のヌメリなど)と呼ばれる生物集合体を形成することが知られており,バイオフィルムに含まれるアメーバがレジオネラに感染していると,結果的にその水源がレジオネラに汚染されることになる2).ゆえに,バイオフィルムが形成されやすい温泉や循環風呂などがレジオネラ感染の場となることが多く,温泉や公衆浴場でのレジオネラ集団感染に関する報道を目にすることがある.レジオネラ感染による症状は“ポンティアック熱”と“レジオネラ肺炎”の2つに大別される.ポンティアック熱の場合,通常の風邪と類似した症状に留まり一週間程度で治癒する.一方,レジオネラ肺炎では呼吸器系のみならず消化器系や中枢神経系にまで重篤な障害が現れ,高い致死率を示す.
「KEY WORDS」レジオネラ,Ⅳ型分泌装置,レジオネラエフェクター,細胞内小胞輸送,Rabタンパク質

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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