特集 呼吸器領域の治療における展望と問題点
エストロゲン阻害薬と肺高血圧症
THE LUNG perspectives Vol.26 No.4, 43-49, 2018
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は女性に多くエストロゲンの関与が示唆される一方で,男性PAH患者の方が進行が早く予後不良である.また,動物実験において卵巣切除により肺高血圧症(PH)の悪化を認めるなど,相反する作用を認め,PHに対するエストロゲンの作用に関してはいまだ一定の見解が得られていない.しかし近年,内因性のエストロゲンをPHの病因の1つとする報告も増えてきており,PAHにおけるエストロゲンをターゲットとした治療(エストロゲン阻害薬)の可能性も検討されてきている.本稿では,エストロゲンのPHに対する相反する作用と,エストロゲン阻害薬の可能性について概説する.
「KEY WORDS」肺動脈性肺高血圧症,estrogen paradox,アロマターゼ,“内因性” エストロゲン,アナストロゾール
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