第一線で働く医師たちからのオピニオン
新しい発想で,将来を見据えた小児科医療を展開
THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 92-95, 2018
小学校時代の私は,運動が嫌いで,放課後に友達と外を駆け回ることもなく,じっと部屋で過ごすような子どもでした。本を読むのが好きでしたが,私の母親いわく「熱心に読んでいるようで,実は本が逆さまになっていることも多かった」そうです。その後大学在学中と卒業して医局入局後,二度のヒマラヤ遠征登山に参加できたことは,当時を思うと夢のようです。
勉強も,がむしゃらに頑張るタイプではありませんでしたが,小学校時代に通っていた塾の講師が,単に正解を答えさせるだけでなく,しっかりと物事を考えて答えを導くように指導する人でした。その教えによって培った考える力,多面的に物事を捉える習慣は,私の人生における行動や選択に大きく影響したように思います。
その後,中学に入って社会に目が開けてくると,日本はいわゆる激動の時代の真っ只中でした。1970年前後のことです。社会情勢が目まぐるしく変化する中,成績を上げ,良い学校,良い会社に入る人生には魅力を感じませんでした。中学2年生の頃には既に,「組織のルールに従って認められるとか,社会で偉くなることは大切ではない」と考えていましたし,他人と同じである必要はないという,強い信念をもっていました。
ですが,そのような既存の価値観に捉われない生き方をしたいのなら,社会に出るためには何かしらの資格が必要と考えていました。塾の講師の影響で教職に就くことも考えましたが,両親ともに医師で,医業は親しみのある職業であったことから,最終的には医師の道を選ぶことになりました。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。