特集 アンチテーゼとしての難治性呼吸器疾患の個別化医療
急性呼吸促迫症候群に対する個別化医療
THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 57-60, 2018
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は,二次性の非心原性急性肺水腫で,その原因となる多様な原疾患を積極的に同定し,適切な治療を行うことが必須である。しかし,原疾患の同定と治療方針の決定に関して,画一的な臨床的診断基準の有用性は限定的であり,その欠点を補うべくARDSを表現型で分類する試みも行われている。一方,生命維持に不可欠な人工呼吸自体によって生じる人工呼吸器関連肺傷害(VILI)は,生命予後を左右する重大な合併症となりうる。近年,VILIを軽減しつつ,集中治療後の長期予後を視野に入れた重症度別の人工呼吸器管理が提唱されている。VILIを最小限に抑えるためには,肺内病変の不均一性(heterogeneity)を考慮した人工呼吸器管理も求められる。
「KEY WORDS」人工呼吸器関連肺傷害,重症度,長期予後,表現型,異質性
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