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特集 アンチテーゼとしての難治性呼吸器疾患の個別化医療

閉塞性睡眠時無呼吸症候群のフェノタイプに対応した個別化治療への道

山内基雄

THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 52-56, 2018

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は読んで字のごとく,睡眠中に上気道が閉塞し呼吸が停止する疾患である。そのため究極の治療法は眠らないことであるが,三大欲求の1つである睡眠をとらないことはあり得ないことであり,人は必ず眠る。また一般的に呼吸は覚醒時には停止することはなく,眠ることで無呼吸が起こるのである。つまり呼吸調節そのものとその反応性は睡眠中と覚醒中とで異なるのである。以上より,睡眠生理と呼吸生理の両者の深い理解をなくしてOSASの病因・病態生理を理解することはできないと筆者は考える。分子生物学が台頭する現在の医学界においては,疾患多様性を裏づける要因を遺伝子変異・多型に求めることが多いわけであるが,OSASは呼吸生理学の上に立脚する疾患であるため,その多様性・フェノタイプは単純なマーカーでは識別されないゆえに複雑である。本稿では,呼吸調節を中心に呼吸生理学的な側面からOSASのフェノタイプを識別すること,そしてフェノタイプに応じた個別化治療の構築について概説したい。
「KEY WORDS」閉塞性睡眠時無呼吸症候群,フェノタイプ,呼吸調節,呼吸生理学,個別化治療

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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