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特集 アンチテーゼとしての難治性呼吸器疾患の個別化医療

特発性肺線維症に対する個別化医療

―免疫抑制療法と抗線維化薬の役割について―

榎本紀之

THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 34-37, 2018

近年,実臨床における頻度が高く,かつ最も予後不良である特発性肺線維症(IPF)の治療が大きく変化している。慢性期のIPF症例において,古くから実施されていた免疫抑制療法の効果は乏しく,新規の抗線維化薬が有効であることが示されている。しかし,IPF症例でも膠原病的な背景を有する症例や慢性過敏性肺炎が否定できない症例などの非典型例では,ステロイド治療を中心とした免疫抑制療法も選択肢の1つとなる。一方で,IPFの急性増悪(AE)においては免疫抑制療法が中心となるが,治療効果は不十分であり新たな治療法の確立が急務である。ガイドラインに則した治療選択は重要であるが,それのみでは対応が難しい,多様なIPF症例の背景と治療戦略について概説する。
「KEY WORDS」特発性肺線維症,免疫抑制療法,抗線維化薬,急性増悪,膠原病関連間質性肺炎,慢性過敏性肺炎

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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