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光線力学を用いた肺がん治療
――PDTの現状と今後の展開(第2回)
THE LUNG perspectives Vol.26 No.1, 77-84, 2018
前回,「光線力学を用いた肺がん治療」の連載第一回目として光線力学的治療(photodynamic therapy;PDT)の開発経緯と作用機序などの基礎的知識について概説した。今回は,PDTの現状と今後の展開について紹介したい。
現在の肺がんに対するPDTの適応は中心型早期肺がんであるが,新戦略として最近増加傾向にある末梢小型肺がんへの応用,多発肺がん,気道閉塞を伴う進行肺がんや悪性胸膜中皮腫への応用も検討されている。PDTと抗がん剤や分子標的治療薬との併用療法なども興味深い。また,基礎的には,光感受性物質(photosensitizer;PS)に抗体を結合させ腫瘍集積性を向上して近赤外光照射による局所での腫瘍破壊と,引き続き惹起される腫瘍免疫の活性化を原理とする光線免疫療法(photoimmunotherapy;PIT),再発や転移を制御できる可能性がある増殖因子やサイトカインの各種インヒビターとの併用によるPDT,ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いたPDTなどが最近のトピックスである。副作用が少なく治療効果の高いPDTの開発が今後期待される。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。