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特集 呼吸器感染症Up-to-date

結核感染症の宿主反応のダイナミズムに関わるマトリセルラータンパクの機能

服部俊夫趙景格浩日勒白高娃元田弘敏

THE LUNG perspectives Vol.26 No.1, 67-71, 2018

感染に伴う組織変化のもっとも特徴的な所見は浮腫である。その細胞外液に含まれ,マトリセルラータンパク(MCP)で免疫活性の強い,ガレクチン-9(Gal-9)とオステオポンチン(OPN)の結核における免疫組織学的検索,患者血漿,組織,リンパ球の結核特異抗原に対するγ-IFN産生能への影響を測定した。Gal-9とOPNはマニラの肺結核患者血漿で上昇していた。我が国の肺結核患者の血漿中のOPNはリンパ球とEsat-6に反応したγ-IFN産生細胞数と逆相関した。ゆえにOPNは,主に病巣に誘導されたマクロファージにより産生されメモリーT細胞を含む免疫細胞の遊走を促進すると思われる。またGal-9は胸水中に高濃度に存在し,感染病巣での透過性の亢進を生ずるものと推測される。これらよりMCPはメモリー細胞の誘導や胸膜の透過性亢進など結核病変のダイナミズムに大きく関わることが想定された。
「KEY WORDS」マトリセルラータンパク,ガレクチン-9,オステオポンチン,結核,胸膜炎

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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