感冒症状を引き起こすウイルスは市中感染性呼吸器ウイルス(CARV)と呼ばれ,インフルエンザウイルスをはじめ,ライノウイルス,respiratory syncytial(RS)ウイルス,ヒトメタニューモウイルスなど多くの呼吸器系ウイルスが含まれる。これらのウイルスは造血幹細胞や固形臓器移植後の患者,白血病患者,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)患者,高齢者などの免疫低下宿主に感染すると重症肺炎を起こし得る。造血幹細胞移植後の患者においては,CARVのなかでも特にインフルエンザウイルス,RSウイルス,パラインフルエンザウイルス3型が重症化しやすいことが知られている。海外の白血病患者感染症治療ガイドラインでは,いくつかのCARV感染症に対する抗ウイルス薬の使用が推奨されているが,本邦では適応承認されておらず,使用することができないのが現状である。
「KEY WORDS」CARV,造血幹細胞移植後,白血病,Ribavirin,Cidofovir