<< 一覧に戻る

第一線で働く医師たちからのオピニオン

いつまでも勉強ができる,それが医師の道

平井隆

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 98-101, 2017

父親が小児科医として開業しており,医療を身近に感じて育ったことが医師の道を選んだことに大きく影響しています。また,兄が16歳の若さで悪性腫瘍のため亡くなり,大学3年生のときには母親が胃がんで,5年生のときに父親が肺がんで亡くなったのです。家族を立て続けに悪性腫瘍で亡くしたことも,これまでの様々な選択に影響を及ぼしていると思います。特に,父の肺がんの手術の際には,主治医の先生にお願いして手術室に入って手洗いさせてもらいました。それが人生で初めての手術見学でした。この時の思いを言葉にすることは難しいですが,執刀された京都大学の寺松教授に父の肺を触らせてもらい,強烈な印象を受けました。また執刀された先生方の手際のよさに感動しました。
医学生のころからvital organを扱いたいとの思いがありましたが,卒業の頃は,「内科か外科か……」最後まで迷っていました。最終的には,がんの診断も手術もできる外科を選びました。
岐阜大学医学部を卒業後は,同大学の第一外科に入局しました。岐阜大学の第一外科は,心臓血管外科,呼吸器外科,消化器一般外科が集まったいわゆるナンバー外科で,その医局に6年間在籍し,関連病院をまわる中で様々な領域の外科診療に携わることができました。ただ,専門領域を選択するにあたっては,やはり肺がんの診療を行いたいという思いが強くありました。京都大学胸部疾患研究所(現 呼吸器外科)に入局して大学院へと進学しました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る