<< 一覧に戻る

いま振り返る研究の日々

第14回 無呼吸テストで脳幹死の判定は可能か?

川上義和

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 88-91, 2017

我が国の脳死臓器移植は増えているのだろうか。ある新聞報道では,「2010年の“本人の意思が不明でも家族の同意があれば臓器を提供できる”とした改正臓器移植法以降は明らかに増加して,2010年の32例から2011年44例,2012年には58例となり,今後も増加が見込まれる」という。しかしこの記事の見込みとは異なり,実際には2013年以降頭打ちになっているとのデータもある。
臓器移植が許される法的脳死判定には,脳波による大脳機能の消失が認められ,脳幹機能の消失(瞳孔の散大固定),脳幹反射の消失,聴性脳幹反応消失,そして無呼吸テストが必要となっている。無呼吸テストは,脳死判定の決め手ともいうべき重要な位置にあるが,この問題点を呼吸調節の視点から考えるのが今回のエッセイの趣旨である。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る