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光線力学を用いた肺がん治療

――光線力学的治療法の開発と作用機序(第1回)

古川欣也中嶋英治小野祥太郎

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 80-86, 2017

光工学の発展とともに,医工連携により光を利用した医学研究が現在盛んに行われている。光の医学への応用は,内視鏡の発達と導光ファイバーの開発により大きく発展を遂げてきた。たとえば,高出力レーザーにより組織を凝固・蒸散させて治療する内視鏡的レーザー焼灼法や低出力レーザーにより腫瘍親和性光感受性物質(photosensitizer;PS)の光化学反応を惹起して腫瘍を治療する光線力学的治療法(photodynamic therapy;PDT)などの治療方法が確立し,呼吸器,消化器,脳神経外科,眼科,皮膚科,泌尿器科などの各領域ですでに臨床応用がなされている。中心型早期肺がんに対する内視鏡的PDTは,従来外科切除が施行されていた症例でも手術を回避することができ,患者にとって非常に低侵襲な治療法であるといえる。また,生体組織に光を照射し,腫瘍に集積したPSから発生する蛍光をとらえ腫瘍の局在を診断する光線力学的診断法(photodynamic diagnosis;PDD)やPSを投与せずに腫瘍組織における自家蛍光の減弱をとらえる自家蛍光診断法(autofluorescence diagnosis;AFD)なども盛んに研究され,臨床応用されている。今回は,PDT開発の経緯とその作用機序について紹介したい。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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