特集 免疫学の新展開と呼吸器疾患
MHCクラスⅡの再発見
―ネオ・セルフ:ミスフォールドタンパク質/MHCクラスⅡ分子複合体による新たな自己免疫疾患発症機構―
THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 61-65, 2017
免疫機能のなかで主要組織適合遺伝子複合体(MHC)はT細胞へのペプチド抗原の提示を行っている。ゲノムワイド解析により自己免疫疾患の原因分子が数多く同定されており,その中でもMHCクラスⅡアリルが強く疾患感受性に影響している1)。これまで自己免疫疾患の発症において,MHCはT細胞に自己抗原ペプチドを提示することで重要な機能を担っていると考えられてきたが,MHCクラスⅡ分子には小胞体内のミスフォールドタンパク質を細胞外へ輸送するというシャペロン機能があることが明らかになってきた2)。さらに,疾患感受性アリルのMHCクラスⅡ分子に提示されたミスフォールドタンパク質は,正常の自己抗原とは異なる「ネオ・セルフ」として自己抗体の標的分子になっていることも明らかになった。そこで,本稿ではミスフォールドタンパク質/MHCクラスⅡ分子複合体を介した新たな自己免疫疾患の発症機序について紹介する3)4)5)。
「KEY WORDS」関節リウマチ,顕微鏡的多発血管炎,抗リン脂質抗体症候群,自己免疫疾患,ミスフォールドタンパク質
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。