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特集 免疫学の新展開と呼吸器疾患

呼吸器疾患とMAIT細胞

原田紀宏

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 47-50, 2017

MAIT細胞は,単一性で多様性のないT細胞受容体を発現し,MR1分子に抗原提示される微生物由来のビタミンB2合成中間産物を認識する。このMR1依存性刺激やIL-18,IL-12などのサイトカインによりMAIT細胞は活性化され,IFN-γやIL-17などのサイトカインを産生する。ヒトにおいては,末梢血T細胞の1~10%を占める大きな細胞集団である。気道に侵入する外来微生物に対して,MAIT細胞は肺の恒常性維持を担っている可能性があり,インフルエンザウイルス肺炎と結核性胸膜炎においては,MAIT細胞はそれぞれの感染症に対して抑制性に機能する可能性が報告されている。また,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)においては,末梢血MAIT細胞の減少が指摘されているが,それぞれの疾患におけるMAIT細胞の機能の詳細はいまだ明らかではない。呼吸器疾患以外の疾患においてもMAIT細胞の役割はいまだ不明な点が多く,今後のさらなる解析が期待される。
「KEY WORDS」自然免疫,肺炎,結核性胸膜炎,気管支喘息,COPD

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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