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特集 免疫学の新展開と呼吸器疾患

非結核性抗酸菌症の病態形成と免疫機構

石井幸雄

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 27-32, 2017

非結核性抗酸菌(NTM)は環境中に広く存在する菌であり,NTM症発症には宿主の免疫状態が大きく関与する。細胞内寄生菌であるNTMの感染防御の中心はマクロファージとTh1細胞を主体とした細胞性免疫であり,分子レベルではIL-12とIFN-γとの相互作用が軸となる。IL-12/IFN-γ軸が播種性NTM症の感染防御の中核をなすことは,IL-12/IFN-γシグナル伝達に関わる緒分子の遺伝子異常や,IFN-γに対する自己抗体保有者が播種性NTM症を易発症することからも明らかである。一方,近年増加している肺NTM症では今までに明確な感受性分子が同定されていない。発症には免疫細胞以外に線毛運動や粘液分泌など上皮細胞の機能も関与しているものと思われ,発症機構解明のための幅広い宿主側因子の解析が待たれる。
「KEY WORDS」マクロファージ,T細胞,TNF-α,IL-12,IFN-γ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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