以前から,環境微生物への曝露が喘息などのアレルギー性疾患を抑制することが示唆されており,衛生仮説と呼ばれている。最近の研究により,微生物に含まれるエンドトキシンが気道上皮細胞におけるA20の発現を高め,喘息病態を抑制することが明らかになった。一方,下気道にも固有の細菌叢が存在することが2010年に報告され,喘息患者の下気道のマイクロバイオームの特徴はProteobacteriaが優位であることが明らかになった。また,H. influenza やS. pneumoniae ,M. catarrhalis のコロナイゼーションが小児喘息の発症に関連していることや,Haemophilius やKlebsiella がTh17を介した好中球性炎症やステロイド抵抗性の重症喘息の病態に関与していることなどが報告されている。マイクロバイオームの修飾が喘息の発症予防や治療につながる可能性があり,今後の発展が期待される。
「key words」肺,A20,Proteobacteria,Haemophilius
「key words」肺,A20,Proteobacteria,Haemophilius