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特集 呼吸器在宅医療のサイエンス

小児患者の発育,教育に呼吸器在宅医療はどう貢献できるか

佐地勉

THE LUNG perspectives Vol.25 No.1, 47-51, 2017

1771年に薬学者であったドイツ系スウェーデン人Karl Scheeleが酸素を発見してから250年に近くなるが,彼は多くの有機酸や無機酸も発見し,当時から酸素自体に有害物質の疑いもあったといわれている。臨床現場で普通に用いられている酸素も有益でもあり,実は有害でもある。事実,嫌気性菌は酸素の下で死滅してしまう。特に純酸素の長時間吸入は生体にとって有害である。未熟児においては網膜症の原因になり,高濃度酸素を長時間以上吸入すると,肺障害や最悪の場合は失明する危険性がある。一方,低酸素状態が長く続くと,小児では低栄養,発育不良,脳機能や神経心理学的発達にも悪い影響を与える。特に,小児領域での酸素投与は慎重にその適応を吟味したうえでの適正使用が求められる。
「KEY WORDS」低酸素,慢性肺疾患,在宅酸素療法,小児心理,高次機能

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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