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いま振り返る研究の日々

第9回 気胸の胸腔ガス分析から治療法を考える

川上義和

THE LUNG perspectives Vol.24 No.3, 88-91, 2016

自然気胸や続発性気胸は,呼吸器診療ではcommon disease に入るだろう。しかし,病態生理学的アプローチが意外に少ないのは,なぜであろうか。自然気胸の患者は,痩せて背が高いと,よく言われる。経験的に確かにそう見える。これが栄養状態の悪いことの裏返しか,気胸の発症になにか関係があるのか,興味を持ったので,解析したことがある。まず,体型と気胸の発生に因果関係があるか,患者群48人,気胸がない他の疾患の患者群46人,気胸を経験したことがない健常大学生48人について胸部レ線写真を解析した1)。患者群の胸部レ線写真は気胸が完全に吸収された後に,通常通り最大吸気位で撮像。年齢は3群とも平均24歳。気胸患者は体重, 肥満係数(平均80%),BMI(平均19.2)から見て他疾患患者,健康学生より痩せていたが,身長は3群とも同じだったのは意外。“ 背が高い”はまず訂正の要あり,“ 痩せているために背が高く見えた”のだろう。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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