特集 超高齢化時代の呼吸器診療
剖検からみた複数疾患合併の実態:呼吸器疾患を中心として
Complications in patients with respiratory diseases : viewpoints from autopsy findings
THE LUNG perspectives Vol.24 No.3, 64-69, 2016
「Summary」高齢者剖検例を検討した結果,呼吸器疾患は肺炎51%,肺気腫20%,肺結核(陳旧性を含む)16%,肺癌11%,間質性肺炎7.5%,肺血栓塞栓症6.2%の頻度でみられた。喫煙歴(男性73%,女性23%)を反映し,肺癌,肺気腫の比率は男性で有意に高かった。肺気腫には肺癌,大動脈瘤,胃潰瘍の併存率が有意に高かった。肺癌では胃潰瘍,大腸憩室の併存率が高く,心筋梗塞,胆石症の併存率が低かった。肺炎はアルツハイマー病,パーキンソン病,低栄養,骨粗鬆症,逆流性食道炎,胆石症との関連がみられた。従来COPD には心血管疾患の併存率が高いと言われていたが,剖検例における肺気腫の検討結果とは必ずしも同じではなかった。これは臨床的な症状,検査データに基づく病態と,形態に基づく病理学的診断名が必ずしも同一でないことによるかもしれない。両者を総合して判定し,より臨床的意義のあるデータが求められる。
「Key words」剖検例,呼吸器疾患,肺気腫,肺癌
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。