特集 超高齢化時代の呼吸器診療
認知症患者の呼吸器病診療
Clinical skills for the patients with respiratory disease complicated by dementia
THE LUNG perspectives Vol.24 No.3, 37-40, 2016
「Summary」わが国では2025年に認知症患者が700万人を超え,65歳以上の5人に1人が認知症ということになると予想されている。現在でも10人の後期高齢者を診ればそのうちの複数人は認知症であり,呼吸器科医は否応なく認知症と向き合わなければならない。そして正しく付き合うためには認知症の理解が欠かせない。本稿では日常の診療に役立つように,認知症を伴う呼吸器病患者の診療の要点について概説した。
Ⅰ 認知症の概要と患者の見つけ方
認知症にはいくつかの病型があり,アルツハイマー病が最も頻度が高く,次に多い脳血管性認知症で全体の約4分の3を占め,以下,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症などが続く。認知症の最新の定義はICD-10(国際疾患分類第10版)やDSM-5(米国精神医学会精神医学診断統計便覧第5版)による。簡略にいうと,「①いったん正常に発達した認知機能や精神機能が後天的な脳の障害により低下し,②日常生活・社会生活に支障をきたしている状態」である。
「Key words」認知症,アルツハイマー病,MMSE(minimental state examination),抗コリン薬,薬物有害事象,日本老年医学会の立場表明2012
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