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特集 超高齢化時代の呼吸器診療

日本の高齢化と医療保険

Aging population and medical insurance system in Japan

蝶名林直彦西村直樹

THE LUNG perspectives Vol.24 No.3, 24-31, 2016

「Summary」日本の人口構造において,どの先進国よりも早く超高齢化社会に直面することは,国民皆保険下の医療保険制度に甚大な影響を与える。すなわち一般に高齢者は1人でいくつかの疾病をもち,増悪による入院も多く1人当たりの医療費が若年者より高いため,わが国では団塊の世代がすべて後期高齢者層に入る2025年以降,医療保険制度の危機を迎えることとなる。呼吸器疾病に関しては,高齢者に多い誤嚥性肺炎や肺癌による死亡者数が80歳以上で増加するため,それに要する医療費の増加が懸念され,喫煙高齢者に多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)なども含め,それらの疾患の予防と早期診断技術の開発が要求される。一方,厚生労働省でも,在宅医療を主体とした地域包括医療システムの構築を積極的に進めており,それにかかわる診療報酬の加算は優先されている。また,内科系学会社会保険連合でも地域連携やチーム医療などにかかわる高齢者医療を支援する案件は積極的に後押ししている。本稿の最後に今年度の診療報酬改定で呼吸器領域で認可された提案を示したが,かなりの部分が高齢者医療にかかわるものであった。
「Key words」診療報酬,高齢者医療,地域包括ケアシステム,在宅医療,呼吸器領域

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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