「歴史的背景」がん細胞は正常細胞と比較してエネルギー代謝動態において大きな差異がある。すなわち,がん細胞は通常酸素分圧下においてもミトコンドリアでの酸化的リン酸化によるアデノシン三リン酸(ATP)供給に依存せず,代わりにグルコースの取り込みを亢進し,グルコースを乳酸に変換する解糖系を活性化することで嫌気的にATPを生み出す。この現象はOtto Warburgが90年ほど前に報告しており,「ワールブルグ効果」と呼ばれている1)。がん細胞はその急速な細胞増殖を賄うためATP以外にも同時に大量の核酸やアミノ酸,細胞膜脂質成分などの細胞の構成要素が必要となる。
「Key words」一酸化炭素(CO),メチル化,解糖系,ペントースリン酸回路,グルタチオン