「Summary」近年,直径数十ナノメートルの微小分泌小胞「エクソソーム」が基礎医学研究から診断・治療への応用研究まで幅広く注目を集めている。病因細胞に由来するエクソソームには,その疾患に深く関わる核酸,タンパク質,脂質などの情報が豊富に含まれ,これらが血液など体液に乗って循環していることがわかってきたからだ。一方で,エクソソームの研究が進むにつれて体内にはさまざまな種類の分泌小胞が存在することも明らかとなってきており,エクソソームの定義自体が構成成分や機能の面から国際的な議論の的になっている状況でもある。本稿では次世代の診断薬リソースとしてエクソソームがもつ可能性を俯瞰するとともに,最先端のエクソソーム解析技術についてもプロテオミクスを中心に記す。
「Key words」分泌小胞,質量分析,肺癌,バイオマーカー,リキッドバイオプシー