「Summary」肺癌診療は,近年のゲノム解析技術の進歩およびドライバー遺伝子同定と分子標的治療薬での治療によりPrecision Medicineの時代に突入した。第3世代EGFR-TKIも承認され,multiplex診断薬を用いた遺伝子変異スクリーニングによる薬剤選択の実施など,さらなる予後改善や治癒を目指した新規の分子標的治療薬の治療戦略が検討されている。さらには,2015年に免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブが非小細胞肺癌に対して承認となり,肺癌の薬物療法は免疫療法という新たな治療オプションの選択が可能になったが,効果予測マーカーの同定や費用対効果の問題などの検討課題も存在する。今後,肺癌におけるPrecision Medicineの実現へ向けて,さらなる臨床および基礎データを蓄積していく必要がある。
「Key words」Multiplex診断薬,EGFR-TKI,血管新生阻害薬,免疫チェックポイント阻害薬