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特集 特発性肺線維症(IPF)を考える

基礎医学とのダイアローグ Muc5bによる気道防御

Airway defence mediated by Muc5b

本家孝一

THE LUNG perspectives Vol.23 No.3, 70-73, 2015

「Summary」気道は吸気中の病原体や毒物に対して抵抗性である。流動性のmucus gel layerに捕捉された病原体や毒物は,粘液ごとpericiliary layerの線毛運動によって遠位側から近位側に向けて運ばれ,声帯で食道に取り除かれる。このプロセスをmucociliary clearanceという。ヒトの気道粘液には分泌型ムチンのMUC5ACとMUC5Bの2種類がほぼ等量含まれているが,マウスの気道ではMuc5acはほとんど産生されず,Muc5bが分泌上皮細胞から産生分泌される。本稿では特発性肺線維症(IPF)と最も関連性が指摘されているMUC5BのマウスorthologであるMuc5bの生理機能について,ノックアウトマウスの解析結果をもとに解説する。
「はじめに」特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は,原因が特定できていないので"特発性"という名称が付いているが,タバコ喫煙などの環境要因が特定の遺伝的素因と合わさって発症すると考えられている1)。
「Key words」ムチン,MUC5AC,MUC5B,mucociliary clearance,細菌感染

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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