特集 特発性肺線維症(IPF)を考える
序文
THE LUNG perspectives Vol.23 No.3, 18, 2015
本号は,特発性肺線維症(IPF)に焦点をあてた。びまん性肺疾患としては,3年ぶりの特集である。呼吸器病学の五大疾患群は,気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患などの気道疾患群,感染症,肺癌・胸部悪性腫瘍,肺血管疾患,そしてびまん性肺疾患である。このうち,最も取り付きにくい,そして勉強しにくい疾患群は,間違いなくびまん性肺疾患だろう。患者さんが来院する。まず画像診断をしなければならない。しかし,画像診断が難物だ。IPF or not IPF. That is a question. 本当にIPFでいいのか。なにか見落としていることはないか。モニターの前でCTを見ながら頭を抱えて沈思黙考,ということが少なからずある。次に立ちはだかる問題は,確定診断手順である。画像所見,臨床所見だけでいいのか。気管支鏡検査をするべきか,内視鏡下肺生検を行うべきか,さらに判断が必要である。どのような手段を取っても,ある程度の侵襲と急性増悪の可能性が残る。気管支鏡検査をしてもいいのか,肺生検をして大丈夫なのか。来院1~2回目で,患者生命に関わる検査の是非が問われる。診療難度が当初から非常に高い。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。