「Summary」オートファジーは,細胞死,免疫,炎症,老化を含む種々のプロセスに関与すると考えられ,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態への関与も報告されている。初期には,「タバコ煙の酸化ストレスによりオートファジーが亢進し肺気腫を形成」,逆に「喫煙に対するオートファジーの機能が不十分なため老化が促進しCOPDの病態を形成」との2説が報告された。直近では,PINK1を介する選択的オートファジーのCOPD病態への関与,オートファジーによる気道上皮の線毛の短縮および機能不全を介したCOPD病態形成メカニズムが提唱されている。気流閉塞以外のCOPDフェノタイプ,筋委縮や呼吸器感染症へのオートファジーの関与も推測されている。ヒトの肺におけるCOPD病態形成へのオートファジーの関与の正確な評価方法の開発が,今後の課題である。
「Key words」喫煙,老化,選択的オートファジー,線毛短縮,筋委縮,呼吸器感染症
「Key words」喫煙,老化,選択的オートファジー,線毛短縮,筋委縮,呼吸器感染症