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特集 新技術の呼吸器への応用を考える

序文

萩原弘一

THE LUNG perspectives Vol.22 No.4, 12, 2014

「ある時代の医学の定説は,決して永遠不朽のものではない。そして,医療はいつもその時代の枠を超えることはできない」あるエッセイからの引用である。過去に出会った症例を振り返ったとき,現在ならばもっと良い医療があったことにしばしば気づく。違いはなぜ生じたのか。その原因に思いを馳せるとき,心に浮かぶことは一つではない。新たな医学知識が原因のこともある。技術が原因のこともある。しかし,それだけでは越えられない時代の枠があることに気づく。それは,医学を巡る環境であったり,人々の意識であったり,自然科学自体のレベルであったりする。呼吸器病学を発展させる知識,技術の多くは,外からやってくる。呼吸器病学以外の周辺分野が呼吸器病学を進歩させる。そのような周辺分野について,我々は常に初心者で,常に素人である。拒否反応を起こし,目を閉じてしまうことも多い。先駆者による良いガイドがあれば,さまざまな可能性が開けるのに……そう思う人も多いのではないか。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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