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医療と哲学

第44回 瞑想生活のある医学

矢倉英隆

THE LUNG perspectives Vol.22 No.3, 106-109, 2014

日本での医学研究を終え, 医学, 科学, 哲学, 歴史などについて広く考えるためフランスに渡って七年目に入った. この間, 日本を離れる時には想像もできなかった変化をいくつか経験している. その一つが「省察」(réflexion)および「瞑想」(méditation)と呼ばれる精神運動に関することである. 日本にいる時には漠然としたイメージさえ持っていなかったこれらの運動を体で感じた時, それまで「省察」の動詞(réfléchir)が表す「考える」という営みを行っていなかったのではないかという疑念を抱くようになった. と同時に, こちらの時間が長くなり, 距離を置いて日本の状態を眺めることができるようになるにつれ, この状態はわたし個人を超えて日本社会にも広がっている現象ではないかと考えるようになった. このエッセイでは, 古くから動的生活と対比しながらどのようにバランスを取るのが理想的なのかについて論じられてきた静的な生活, すなわち瞑想生活について触れた後, それを個人の内的生活だけではなく, それぞれの仕事の領域, さらに言えば日本社会に取り込むことについて考えてみたい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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