【特集 酸素の生体作用―基礎研究から応用医学までの新機軸―】
基礎医学とのダイアローグ 低酸素誘導性因子(HIF)と低酸素
hypoxia-inducible factor and hypoxia
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.22 No.3 92-96,
2014
著者名
白土健
/
大野秀樹
/
木崎節子
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
呼吸器
/
血液
/
癌
診療科目
呼吸器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
血液内科
/
腫瘍内科
媒体
THE LUNG perspectives
「summary」 高所滞在によって生体が慢性的に低圧低酸素環境下に置かれたり, 無呼吸症候群のように呼吸が断続的に停止したりすると, 血中の酸素レベルは速やかに低下し, 低酸素血症が惹き起こされる. また, 癌などの病理的条件下では, 病巣組織内で局所的な酸素レベルの低下が惹き起こされ, 低酸素適応応答を起こした癌細胞が悪性化などの病態形成に深く関わることが明らかにされている. 一方, 海抜0m付近の常圧常酸素環境下においても, ヒトを含めた多細胞生物の生体内には酸素分圧勾配が存在し, 細胞の低酸素適応応答能は, 生体の発達や恒常性維持とも密接に関係していると考えられている. 本稿では, 細胞の低酸素適応応答のマスター調節因子として知られる低酸素誘導性因子(HIF)の発現・活性調節機構や機能的役割について最近の知見を交えながら解説する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。