【特集 酸素の生体作用―基礎研究から応用医学までの新機軸―】
持続性低酸素と肺高血圧症
Sustained hypoxia and pulmonary arterial hypertension
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.22 No.3 60-64,
2014
著者名
伊藤武文
/
木村弘
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
呼吸器
/
血液
診療科目
循環器内科
/
呼吸器内科
/
血液内科
媒体
THE LUNG perspectives
「summary」 肺高血圧症とは, 肺血管収縮, 肺血管リモデリングにより肺動脈圧の上昇を認める病態の総称である. 病態に関与する環境因子の1つに低酸素がある. 肺胞低酸素による低酸素性肺血管攣縮(HPV)は重要な因子であり, 持続性低酸素は肺血管リモデリングを引き起こす. 近年, 低酸素の生体に及ぼす分子メカニズムについて明らかになってきた. その中心的な役割を果たす転写因子として低酸素誘導性因子(HIF)がある. HIFは多数の標的遺伝子の発現を誘導し, さまざまな作用を引き起こす. 肺高血圧症においてもHIFが大きく関与していることが明らかになった. さらに, HIFを介した炎症が肺高血圧症の進展に大きく関わっている可能性がある. 今後, 低酸素・HIFをターゲットとした新規治療薬の開発が期待される. 「はじめに」 肺高血圧症とは, 肺血管収縮, 肺血管リモデリングにより肺動脈圧の上昇を認める病態の総称であるが, その原因は多岐にわたる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。