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特集 酸素の生体作用―基礎研究から応用医学までの新機軸―

地球上における生命体の誕生と酸素―ミトコンドリアの役割―

Oxygen and evolution of living organisms on the earth; roles of mitochondria

田中雅嗣

THE LUNG perspectives Vol.22 No.3, 17-24, 2014

「summary」 1978年にPeter D.Mitchellが生体内における酸化的リン酸化の機構に関する「電気化学勾配仮説」によってノーベル賞を受賞した. ミトコンドリアの電子伝達系が酸化還元に伴ってプロトン(水素イオン)を汲み出し, ATP合成酵素はプロトンの濃度勾配を利用してATP合成を行っているという説である. 最近, 電子伝達系複合体I(NADHデヒドロゲナーゼ)の立体構造が解明され, プロトンの輸送機構の精緻さが分子レベルで明らかになった. 本稿では, ミトコンドリアの成立が真核生物・多細胞生物・陸生生物・恒温動物・ヒトへの進化にどのような影響を与えたのかについて仮説を紹介する. またミトコンドリアの品質維持機構が細胞死・老化・癌化・炎症・長寿に関与していることにも言及したい. 筆者にとって専門外の領域についても論じているため, この小論が独断と偏見と誤謬を含んでいることをご了承願いたい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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